米国のテレビ局CNNの創設者テッド・ターナー氏が第一線から引退するという報道がありました。同氏がCNNを設立したのは1980年で、場所は「風と共に去りぬ」の舞台になったアトランタです。当時、私はアトランタに行く機会が多かったので、ついでに、創業間もないCNNの本社を見学したことがあります。
当初のCNNは地方都市のケーブルテレビ会社でした。実用になったばかりの通信衛星を利用して、それまでは視聴できなかったテレビジョン番組を中継して配信するという、新しい事業が成功したのです。本社の庭に、衛星からの電波を受信するための大口径パラボラアンテナがいくつも並んでいるのが印象的でした。日本のケーブルテレビも難視聴地対策として始まったのですが、日本の難視聴地と米国のテレビ空白地域は、面積や人口が桁違いだということを実感しました。
CNNの本社には、自前の放送スタジオがありました。このスタジオは、後年見学した東京MXテレビのスタジオと、規模も雰囲気もよく似ていました。しかし、現在のCNNと東京MXテレビを比べると、経営者の考え方と行動力の差を強く感じます。
アトランタ郊外の観光地にストーンマウンテンがあります。平らな広い土地の中に、世界最大の花崗岩といわれる、高さ250mに近い一塊の岩が盛り上がっています。オーストラリアの中央部にある、高さ350mのエアーズロックに形がよく似ているだけでなく、先住民族の長老たちが、何かあると集まって会議を開いたということも似ています。ただし、エアーズロックは周囲が沙漠ですが、ストーンマウンテンの周囲は豊かな森です。この一帯は公園になっていて、「風と共に去りぬ」の時代のいろいろな家が保存されています。機会があればもう一度行きたい場所の一つです。
都丸敬介(2006.02.26)
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