米国のガス会社が、家庭や企業に天然ガスを供給しているパイプのネットワークを利用して、ブロードバンド・インターネット事業を提供する計画を推進しているという情報があります。
ガスの分配ネットワークの構成は、ケーブルテレビの番組配信ネットワークによく似ています。したがって、金属製のガスパイプを利用してインターネット情報配信ネットワークを作るという発想はそれほど突飛ではありません。しかし、ガスパイプの材料や構造は通信用ケーブルとは違うので、高速データを長距離伝送することは、技術的にはかなり困難です。このガス会社が研究しているのは、UWB(ウルトラ・ワイドバンド)という、高速無線通信技術を利用する方法で、100Mビット/秒?1Gビット/秒の高速データ伝送が実現できるという話です。この伝送速度は、光ファイバー・ケーブルを使うFTTH(ファイバー・ツー・ザ・ホーム)システムに匹敵し、電話ケーブルを利用するADSLよりも遙かに高速度です。
技術開発の実態を調べていませんが、関係者は、2008年までに米国内の数百万の家庭にこのシステムを普及させると言っているようです。既存の設備を利用するので、サービスを提供するのに必要なコストは、ADSLやFTTHよりも少ないということです。
この技術の名称はBiG(ブロードバンド・イン・ガス)です。本当にビッグな事業になるのかどうか、日本のガス事業者はどのような刺激を受けるのか、といったことに興味があります。
都丸敬介(2006.03.12)
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