好奇心が旺盛だった時代に手当たり次第に読んだ本のページをめくっていると、思
いがけない発見があります。今、机の上にある本は、昭和57年(1982年)に日本放送
出版協会が発行した「テレビ・ジャーナリズムの世界」です。
この本の主題から外れたところに、ニュース放送の歴史についての解説がありまし
た。以下、興味深いいくつかの記述を引用します。
「NHKのニュースは、時計の長針が十二時を指すとき、つまり正時に始まるのが原
則である。」、「NHKが独自にニュースを編集して全国放送したのは、昭和五年十一
月一日からであった。(中略) まだ、ニュースは正時に放送するという原則は確立
していない。」
ニュースを正時に放送するという原則が確立したのは、定時ニュースの回数が一日
に十一回になった、太平洋戦争中だったそうです。「正時にはニュースというこの原
則は、ニュースが一日の流れのなかで、句読点の役割を果たすことを意味してい
る。」という感覚は現在も生きているのでしょうか。昭和二十六年に民間放送ラジオ
が生まれたとき、「民放ラジオがとった対策は、NHKニュースよりも一刻早く、
ニュースを放送するという民放の“原則”が生まれた。」ということです。
私は、NHK衛星第一放送の「おはよう世界」を毎朝見ています。短時間に世界のお
もな放送局が注目している出来事を知ることができるのは素晴らしいことです。イン
ターネットからも常に新しいニュースを入手できます。こうした現状を「テレビ・
ジャーナリズムの世界」を執筆した人たちがどう分析しているのか知りたいことで
す。
都丸敬介(2008.11.17)
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