なんでもマルチメディア(458):スカイプの光と影

世界中で無料通話ができるインターネット電話として、利用者が増え続けているスカイプ(Skype)のデモンストレーションを体験しました。
 スカイプは、ルクセンブルグのスカイプ・テクノロジーズ社が開発した、インターネットを利用しているパソコンユーザー同士による、リアルタイムの会話を実現するソフトウェアです。一対一の通話に加えて、複数のユーザーが同時に会話に参加できる多地点通話や、ビデオ通話、文字メッセージによる情報交換などができます。2003年に無料ソフトの提供が始まり、日本語版もインターネットを経由してダウンロードできます。
 スカイプは、通信技術者たちが数十年間にわたって実現に取り組んできた、複数のユーザーが今いる場所で会議に参加できるデスクトップ会議システムを、きわめて経済的に実現した、すぐれた技術であり、サービス支援体制もよくできています。
 スカイプには大きな魅力がありますが、デモンストレーションを体験して、いくつかの危険を感じました。第一は、ファイル交換ソフトウェアのウイニーで問題になっているインターネットを悪用する情報漏洩です。スカイプの運用サービスで、情報漏洩に対してどの程度の保安対策がとられているか分かりませんが、狙ったユーザーの情報を収集することは、普通の電話を盗聴するよりもかなり容易だと考えられます。しかも、電話の盗聴は法律で規制されていますが、スカイプの盗聴は合法的にできるはずです。
 第二の問題は、普通の電話の代わりにスカイプを使おうとすると、インターネットに接続したパソコンを常に動作状態にしておく必要があることです。インターネットの常時接続ユーザーがハッカーの攻撃対象になりやすいことや、電力エネルギーの浪費につながることは、すでによく知られていることです。
 このほかにも、従来の電話サービスと比較すると、サービス品質面でスカイプにはいくつかの問題があります。どうやら、スカイプの光と影の両面の啓蒙が必要なようです。
都丸敬介(2006.04.23)

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です