なんでもマルチメディア(654):ビッグデータの活用例


ネットワーク接続された多数のセンサーで自動的に収集した大量のデータ(ビッグデータ)を分析する技術の開発が活発になり、成果が出始めています。その一例として興味深い記事が、今日(2012821)の日経産業新聞に掲載されています。


 内容は、日立が開発した「ビジネス顕微鏡」という人間関係解析サービスを使って、2つのコールセンターで行った、社員の行動と営業成績との相関関係の分析結果です。

 


 ビッグデータの自動収集・分析システムがなかった時代から、人の行動を観察して集めたデータの中から規則性や特定の現象を見つける研究が行われていましたが、この時代と現在のビッグデータ収集・分析技術は比較できないほど大きな飛躍があります。

 


 ビッグデータの収集・分析は天気予報や地震観測などの特定の専門分野が先行しましたが、今では普通の企業の日常的な業務の改善に利用できる段階になってきました。

 


ネットワーク接続されたセンサーを使ってリアルタイムでデータを収集するシステムは、遠隔監視などの分野で使われていますが、大部分は特定のデータの収集に限られています。1つのデータを他のデータと組み合わせて、その間にある関連性を見出して活用することは、多くの人の日常生活にも反映されます。一人住まいの高齢者が増えている社会が抱えている問題の改善にもビッグデータ技術は役立つはずです。

 


都丸敬介(2012年8月21)

なんでもマルチメディア(653):コアネットワークの大改革

 

情報通信ネットワークの基盤部分はアクセスネットワークとコアネットワークの階層構造になっています。アクセスネットワークはユーザー端末を始めとする情報通信機器をアクセスノードにつなぐ部分です。主なアクセスノードとして、固定電話網の市内交換機、携帯電話網の無線基地局、LANの無線ルーターなどがあります。


 1990年代後半からアクセスネットワークの高速・広帯域化が進み、ブロードバンド回線ユーザーと動画配信のようなブロードバンドサービスが爆発的に増えた結果、コアネットワークに流れるデータ量が大幅に増大して、いろいろな問題が顕在化してきました。


アクセスネットワークの高速・広帯域化と並行して、コアネットワークの高速化や効率的なデータ流通の研究が世界各国で活発に行われてきました。最近の論文を見ていると、コアネットワークの大規模改革が始まる気配を感じます。

 


コアネットワークは複数の機能層を積み重ねた複雑な階層構造になっています。その背景には、長い年月の間に次々に実用化された技術を組み合わせてきた経緯があります。新しいコアネットワークの実現方法として、階層数を減らしてすっきりした構造のアーキテクチャーが示されています。

 


こうしたことの実現には、長い期間と巨大な投資が必要になると思われますが、いつごろ、どのようなコアネットワークが出現するのか楽しみです。

 


都丸敬介(2012731)