何でもマルチメディア(674):IoTのさきがけ

 最近IoT(モノのインターネット:Internet of Things)の話題が活発になってきました。IoTの構想や実現方法の文献を見ていると、今から30年前の体験を思い出します。

 1980年代前半のある日、務めていた会社の対外窓口担当者から、「米国のベンチャー企業の社長から、画期的な構想の説明をしたいという申し入れがあるので、話を聞いてもらえないか」という電話がありました。

 説明を受けた内容は、「世界のコンピューター事業の状況を分析した結果、スーパーコンピューター、メインフレーム・コンピューター、ミニコンピューター、マイクロコンピューターのどれも事業規模(単価×出荷数)が同程度だということが分かった。そこで、1チップサイズのコンピューターを考えた。一人の人間が10個程度身につけるようになれば、莫大な生産量になる」という話でした。社長さんはこのような製品を実現するパートナーを求めて日本に来たのです。

 この提案は、時期尚早という判断で実現しなかったのですが、この時から30年たった現在のIoTの構想と見事に一致しています。1980年代の技術では、機能的にもコスト的にも実現が難しかった1チップ・コンピューターが実現できるようになった今、IoTがどのように社会に浸透するのか、大変興味があります。

(2015.01.08)