何でもマルチメディア(673):2020年のマルチメディア情報配信

 前回の東京オリンピックは、日本におけるテレビの普及拡大の推進力になり、産業界に大きな経済効果をもたらしました。今、2020年の東京オリンピックがもたらす経済効果と情報通信産業の飛躍的発展に関心が高まっています。

 日経エレクトロニクスの2014年10月12日号に掲載された、高野雅晴氏の「東京オリンピックを礎に究極の映像配信を実現」という記事は、6年後のマルチメディア情報配信の姿と、これを実現する基盤になる技術開発や法制度の改革について、よくまとまっています。

 高速インターネット、スマホ、パソコンなどが広く普及した現在では、テレビジョン受像機が爆発的に売れた前回の東京オリンピックのような、ユーザー端末機器産業の拡大はあまり期待できそうもありません。しかし、少数の放送局だけでなく、多数の個人が映像や音声解説をリアルタイムで発信する状態を考えると、情報流通基盤の整備と、情報流通制御方法の整備ために巨額の投資が必用になると考えられます。

 日経エレクトロニクスの記事では触れられていませんが、視聴者が入手できる映像や放送の情報品質の改善が大きな課題です。インターネット電話で多くの人たちが体験している、伝送遅延時間の増大と変動に起因する話にくさ、映像と音声の時間のずれなどを改善することが、新しい時代のマルチメディア情報配信には必用です。

 都丸敬介(2014年10月27日)