今朝(2009年3月2日)の日本経済新聞第1面に「IT分野 40−50万人雇用」と
いう見出しで、IT分野の「3カ年緊急プラン」を政府が検討しているという記事があ
りました。3年計画で、3兆円の投資の増加と40−50万人の雇用創出を目指すと
いうことです。このような計画はこれまでにも何度か立案されて実施されてきました
が、その成果についての説明や評価を目にしたことはほとんどありません。
この新聞記事によると、IT人材の育成について「全国のネットカフェなどでコン
ピューターや通信などに関する基礎知識をインターネットを通じて教える」というこ
とですが、このようなことで大量の雇用創出につながる人材育成ができるとは思えま
せん。
IT人材の育成については、職種ごとに求められる知識や技能を体系的に整理したIT
スキル標準を経済産業省が策定し、これに基づいて情報処理技術者試験が行われてい
ます。このITスキル標準や試験問題の内容を見ると、基礎知識に加えてかなりの専門
知識が求められることがわかります。
インターネットを利用するeラーニングシステムはすでにあります。学習意欲があ
れば、既存のeラーニングシステムを利用して多くの知識を身につけることができる
でしょう。しかし、実務的なスキルを身につけるには十分とは思えません。実務の現
場を疑似体験できるバーチャル・リアリティ教材の充実がこれからの大きな課題にな
ります。そして、このこと自体が大きな雇用創出になる可能性があります。
都丸敬介(2009.3.2)