すこし古い話ですが、家電機器に対する無線給電技術の実用化を目的とする総務省
主導の研究チームが、家電製品メーカーや通信事業者が参加して、2009年2月中に発
足するという新聞記事がありました。実用化目標時期は2015年ということです。
この技術が実用になると、テレビやパソコンの電源コードが不要になって部屋の中
がすっきりするだけでなく、情報通信機器の利用面でも大きな効果が期待できます。
たとえば、携帯電話やディジタルカメラの内蔵電池を無線給電で自動的に充電すれ
ば、電池切れのトラブルを大幅に減らせるはずです。私が使っている超音波歯ブラシ
は、すでに無線給電で充電する電池を内蔵しています。歯ブラシとテレビやパソコン
では必要な電力量がちがうので、これからの研究では供給できる電力量と給電距離の
増大が重要な課題になります。
この分野の研究に、米国MIT(マサチューセッツ工科大学)が2006年に提唱した
WiTricity(Wireless electricity)があります。2007年6月には無線給電器から2m離
れた電球を点灯したということです。WiTricityについては、日経エレクトロニクス
(2007年12月3日号)にかなり詳しい解説記事があります。
無線給電の研究では、供給可能電力や給電距離のほかに、エネルギー効率や人体へ
の影響の評価も重要なテーマです。便利さの追求と同時に、悪影響を生じないことの
確認をしっかり行うことを期待します。
都丸敬介(2009.3.30)