BINET戦略セミナー210127
「医療とAI 活用について」(仮称)
1. 「ビッグデータ・AIが拓く医療の第三次革命 」
近年注目されているビッグデータ・AIの医学・医療への応用は、今後、数十年継続する「第3次医療革命」を引き起こす。ここで第3次とは、抗生物質による細菌性感染症の激減という第1革命、それに続く、分子生命科学の発展による分子医学の席捲という第2革命に続き、それらに匹敵する根底的な医学・医療の改革が開始されようとしていることである。これまでの医学では、<医学研究者の関心や社会の要請>のもとに、一定の医学の対象領域が選ばれ、これまでの知識に基づいて、解明すべき未知の機序に対して仮説が構築され、それを実験を通して検証していく、「仮説駆動型」医科学によってなされた(K.Popper)。これに対して、ビッグデータ・AI時代の医学研究、すなわち「データ駆動型」医科学では、ゲノム・オミックスなどの網羅分子的データの収集から知識を生成するため、知識の深度は一様で、分野の境界に煩わされることはない(分野横断性)。そのデータは、一様な深さをもち「全体表出性」を持つ網羅的データである。本質的な低次元要因から生成される生成性をもつデータであれば、deep learning のautoencoderによって、「教師なし学習」によって自動発見される。網羅的データ-知識の自動発見―データの再合成という新たな知のオントロジーが科学を変革してゆく。
また医療においても、Personal Omicsによるモバイルヘルスとシステム医学が発展し、」治療医学ではなく予知制御医学、生涯にわたる医療が大きな位置を占めるであろう。
講師: 田中 博 氏
東京医科歯科大学 医療データ科学推進室
東北大学 東北メディカル・メガバンク機構
2.「医療AI研究の現状と今後の展望」
近年機械学習(特に深層学習)技術の急速な進歩、安価で性能の高いGPUが利用可能になった事、またビッグデータ時代と呼ばれる時代に入り、公共データベースの拡充などにより、大規模データの利活用が可能になったことなどの理由により、人工知能(AI)技術への期待が高まっている。実際、顔認証や自動翻訳、また自動運転などAIの社会実装は急速に進んでおり、医療分野においても、既に60以上のAI搭載医療機器が米国FDAから承認を受けており、日本においても、PMDAに承認を受けたAI搭載医療機器の実臨床応用が進んでいる。本セミナーにおいては、CREST及びPRISMという国の大型プロジェクトを研究代表として、また文部科学省のAI戦略に関する中核機関である理研AIPセンターのチームリーダーとして医療AI研究を推進した経験に基づき、医療AIの現状と今後の展望に関して紹介する。
講師: 浜本 隆二 (はまもと りゅうじ) 氏
*国立研究開発法人国立がん研究センター研究所・分野長
*東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科・連携大学院教授(連携教授)
*国立研究開発法人理化学研究所革新知能統合研究センター・チームリーダー
*一般社団法人日本メディカルAI学会代表理事
*国立研究開発法人・日本医療研究開発機構(AMED)医薬品等規制調和・評価研究事業検討会委員
開催日時:2021年1月27日(水)13:30-16:00(オンラインで開催)
詳細は https://www.binet.co.jp/event/event.html#t01 をご覧ください。